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3【キス】
「ねぇ」
「なんや?」
くいッと服の裾を引かれて横を向いたらすぐ近くに顔があって、キスされた。それも唇に。
その顔を掴んで押しのけた。
「あんなぁ、何度も言うてるやろ?いきなりちゅーすんなや」
しかもこんな往来で
「それなら『キスしてもいいですか』って聞けばしていいの?」
「それは…」
まあ、ぶっちゃけキスされるのは嫌ではない。
こいつにならされても構わないし、そうでなければ付き合わない。
ためらってしまうのは単に恥ずかしいからで…って俺はどこの乙女だ。
「乙女でも好きですよ?」
「心読むなや!」
「そんで、キスしていいですか?」
なんでこいつこんな男前なん??
じっと見つめ合うこと数分。
俺は顔が赤くなってることを自覚しつつ頷いた。
嬉しそうに笑いながら奴は再び顔を近づけてくる。
キスしやすいように少し顔を下に向けながら、今度は時間をかけて一度。
「愛してます」
「知っとるわ、アホ」
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