愛が思い通りにいくと思うな

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 一週間後の日曜日、私は有給をもらって、精子提供者と会うことになった。別に精子提供者と仲良くする必要はないのでは? と私は思った。男なんて出すもの出したら、それで終わりなのではと勝手に思っていた。 「立木くんはいい子だよ」 「ふーん。『いい子』は『どうでもいい子』」 「毒が舌に回るってよく言ったものよね」 「真理を述べたまでよ」  近所のカフェで少しだけよそ行きの服を着て、アイスティをすする。強い日差しで肌ではもう夏を感じている。まだ暑くなるには早いと思いつつ、私は窓から青空を見上げた。 「立木くん、こっち」 「ニキさんたち早いですね。僕は十分前に着く予定だったのに」  短く切られた髪に精悍な面魂。清潔なポロシャツに同じくジーンズ。私は値踏みするように立木を見た。 「結子、こちら立木健文さん。で、私の伴侶の飯島結子さん」 「初めまして、立木です」 「いつもニキがお世話になっています」  私は差し出された手を迷いなく握り、固い握手をした。第一印象は悪くもなく良くもなく。ああ、男だなと思っただけだった。差し障りのない天候の話から私たちは会話を始めた。そしてニキと私の馴れ初めを立木は聞きたがった。 「馴れ初めと言っても」  私はもったいぶって言葉を繋げようとはしなかった。 「私は結子のお客さんだったの。はじめは」 「そうだったね」     
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