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彼女は亡くなっていた。
彼女の母が丁寧に事のあらましを電話で教えてくれた。
パソコンの前で眠るように息を引き取っていたそうだ。
死因は過労と脱水。
もう1月半ほど前の話だそうだ。
つい先日四十九日が過ぎたそうだ。
彼女が亡くなった日は奇しくも僕が退職した日であった。
彼女の母は、
「こうして娘の友達からたまに連絡があるのよ。
悲しいけど、娘と仲良くしてくれてた子には一言お礼を言いたくて。
娘と仲良くしてくれてありがとうね。」
と最後の方は、涙声になりながらも話してくれた。
僕は驚き悲しみつつも、この一月半ほどのことを思い出しながら、謝罪とお礼を伝え、電話を切った。
切る直前に、彼女の声で
「ありがとう」
と聞こえた気がした。
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