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「あの、それで話って」
ようやく場が落ち着いたところで、僕は切り出した。遠藤さんと舞初さんが立花さんの顔を見た。立花さんはすっと静かに口を開いた。
「鯨井さん、学校へ来てください」単刀直入だった。
「……無理です」
「何故ですか」
「それは」
僕は言葉に詰まってしまった。
果たしてハンマー女の話をして、目の前の彼女らが信じてくれるのだろうか。
ちなみにあの日の後、すぐに警察に連絡したが、彼らのリアクションが「あー……じゃあとりあえず周辺のパトロール強化するから、何かあったらまた連絡してね」なんて中途半端なものだった。
「何か」あってからじゃ遅いだろうが! なんて言い分を、これの半分ぐらいのテンションで申したら「別に何か危害を加えられたわけじゃないんでしょ」と返された。
ぐぬぬ……。確かにあの後はちょくちょく無言電話があるくらいで特別何かが起きたわけではないけれど……でもその静寂が逆に怖いんだよ! 絶対何か企んでるよあの女! 視、線、を、感、じ、る、ん、だよ! なんて叫び散らすわけにもいかず、そうして僕は引きこもり生活を始める次第となった。
警察ですら半信半疑だったんだから、女子高生に話したら笑われてしまうかもかもしれない。
「何それ鬼のようにウケる~」なんて言われたらなんか立ち直れる気がしない。
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