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「鯨井さん、私は一年C組の学級委員を任されています」
下を向く僕に、立花さんが言った。ああ。確かにこの人、委員長って感じだ。よく似合っている。これからは委員長と呼ぼう。
「今日は担任の三里(みさと)先生に、あなたを説得するように言われて来ました」
担任。そういえば引きこもりだしたばかりの頃、何度か訪ねてきたような気がする。まあぜんぶ居留守使って無視したけど。
自分じゃ無理とわかって、今度は委員長投入したわけか。つまりこんな不可思議な状況になった元凶は担任か。そうか。まあ特に何かするつもりはないけれど、一応覚えておこう。特に何かするつもりはないけれどね。
「クラスに長期欠席者がいるのは、私としても困ります」
「それは……何故ですか」
ああ。聞かなくてもいいのに、聞いてしまった。彼女の返答はだいたい予想できる。真面目すぎる彼女はきっと――――
「私には、委員長としてクラスをまとめる義務があるからです」
予想通りの答えが返ってきて、ですよねーと思った。予想していたのだからダメージも少ない、ということはなく、その言葉の刺々しさに僕の脆弱なハートは穴だらけになった。
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