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夜。読書に勤しんでいると、不意にシュウクリームの味が頭に浮かんで消えた。
今の味はシュウクリームだなと思うと、どうしようもなくそれを頬張りたくなった。
もう日付も変わってしまったし、こんな時間に糖分を胃袋にぶち込むとなると何となく躊躇ってしまうが、それでも生クリームとカスタードクリームのWクリームがぎっしり詰まったあれを想像すると、僕は重い腰を上げざるを得ないのだった。
家から徒歩で十五分という割とコンビニエンスでない場所にあるコンビニで、僕はしばらく雑誌を立ち読みして、目的のブツとお茶とを買った。
「七十五円のお返しでーす。ありがーしたー」
この時間のコンビニ店員はどれも死んだような眼をしていて、それが何故だか心地良い。彼らの虚脱感を、僕は愛しているような、そんな気がする。
外に出るとやはり少し肌寒かった。最近ようやくやって来た春も、深夜はあまり稼働していないらしい。僕は肩を縮こまらせて、沈黙する町の中を歩き出した。
見上げると、遥か遠くに星が煌めいている。あそこに宇宙があるのだと思ったら、なんだか悲しいような寂しいような不思議な感覚に陥った。
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