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外灯にぼんやり照らされた道を歩いて行くと、寂れた石段が見えた。
そこを上がって行けば鳥居があって、その向こうに神社がある。それは知っていたが、実際に上がってみたことはなかった。
行ってみようか。
ふとそのような考えに至った。
たぶん先ほど読んでいた本が、えらくファンタジックな毛色だった故の判断だろう。普段の僕ならさっさと帰宅して自分の部屋にてシュウクリームを堪能しているところだが、この時はそのシュウクリームをあの神社で星でも眺めながら食べてみてもいいかなとか思っていた。
まだ夜は長い。よし、行こう。
僕は買ってきたお茶を一口飲んで、意気揚々と石段を駆け上がった。
それが間違いだった。なぜあの瞬間、自分の超絶メルヘンな思考に従ってしまったのだろうかとひどく後悔した。そもそもシュウクリームなんて買いに出なければよかった。家で大人しくあの本の続きを読んでいればよかったのだ。僕はなんて愚かなんだろう。
あああ。
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