2人が本棚に入れています
本棚に追加
だがこの科学の時代に呪いの儀式を実行しようなどという時点でもう頭がアレなのは確定しているので、僕は当初の予定通りこの場を切り上げてさっさと退散することにした。
丑の刻参りではこの行為を他人に目撃されてしまった場合、自分自身に呪いが返ってくるといわれている。だからその時は直ちに目撃者を殺害せねばならない。
であるからして、もしこのタイミングであの女に僕の存在を知られようもんなら、僕の命は風前の灯火である。それだけは避けなければ。
よく耳にする怪談話では、丑の刻参りを目撃した主人公が焦って木の枝等を踏んでしまい、女に見つかってしまう。
だが僕はそんなに馬鹿じゃない。
足元をよくよく確認し、気配を消失させたまま、そっとそーっと石段を降りるんだ。そしてその場をやり過ごしたと同時に全力疾走。
一時も止まらずに帰宅。そのまま就寝オヤスミナサイ。完璧な計画だ。
よし、それでは名も知らぬちょっと頭のアレなお姉さん、僕はこれで失礼します。憎い相手が怪我でもすればいいですね。さようなら。
「あああ、やっとあえた」
最初のコメントを投稿しよう!