一滴の酔魔《すいま》

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「秋澤ですが、今回彼は利用されていたと思われます。それが犯人なのか、それとも犯人側に協力者がいるのか」  増古は淡々とした様子で語る。 「協力者? 犯人は複数犯ということか?」 「あー、複数犯なのは複数犯なんですが、大人が1人、犯人側にいる可能性があります」  貝塚はこめかみを掻いて、補足説明する。 「学生以外に大人? ということは、働いている社会人が?」  本田部長は少し驚いた様子で眉をひそめる。 「まあ、あくまで可能性の話ですが、それも考慮しなければなりません。10万円を軽く支払ってますから、金には困ってない人間かと。学生の親がお金持ちとか、学生自身が多額の金額を稼いでいる場合も、同じく頭に入れておいた方が」 「意外と犯人像は狭まってるのか……」  鈴村は見えた希望を噛みしめるように呟く。 「となると、秋澤がいる河川敷周辺で情報があるかもしれませんね」  本田は捜査が進んでいく高揚感に自然と笑みが出ていた。 「そうだな。割り振りは頼むぞ。本田」 「はい。お前達は引き続き、冴島、湯藤の2人を調べてくれ」 「了解しました」  増子はそう答え、貝塚は無言で礼をして捜査本部を出た。
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