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 今回で10人目となる被害者が発見されているのにも関わらず、殺害の動機や手口どころか、犯人に繋がるものが何一つ出てこないというだけでも話題性充分なのだが、それ以上に、遺体の状態があまりにも特殊すぎて日本中が注目している。  その特徴的な部分とは、全ての遺体がパックリと大きく切り開かれた傷を持ち、その傷口はファスナーで施されているということ。  しかも噂では、全ての遺体からは血液が一切流れておらず、体内からは神経と血管だけが、まるごとゴッソリ取り除かれているという話だ。  これは報道されていない情報で、ネットや口コミで広まっている『噂』にしかすぎないのだが、もしそれが本当だとすれば、犯人は、医療や化学の専門知識を持った何等かの組織か、もしくは『人』ではない何かという事になる。  そんな異常犯罪者なのか異星人なのか分からない犯人のことを、『傷口にファスナー』と、『切り裂き連続殺人鬼』という特徴から、誰が言い出したのかは分からないが、ファスナーの別の呼称がジャック・ザ・リッパーを彷彿させるということで、《ジッパー》と呼ぶようになっていた。
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