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オレンジ色の夕日を背にして、四つの人影が道いっぱいに広がって歩いている。
「拓斗。お前、やっぱすげぇわ。一発逆転アリウープとか。まじ、有り得んって!」
「俺達だって、それまでは結構活躍してたつーのに、あれはねぇわ。いいトコ全部かっさらいやがってよぉ~」
四人共、一般的に言えばスラリと背の高い部類に入るのだが、その中でも、左端にいる一番背の高い男に向かって、他の三人が冗談交じりで皮肉っている。
彼らの口調からも分かるように、当然、その中には温かい気持ちが入っており、彼に対する信頼と尊敬の念が込められているのが分かる。
「ばっか。それを言うなら、各務のリバウンドからの、湊のナイスパスのお陰だっつぅの」
いきなり二つの影の後ろに移動し、頭をワシャワシャと掻きまわす彼は、口は悪いが、その声色はどこか穏やかだ。
「ちょっと待てよっ! オレは? オレだって一応活躍したべ?」
一人だけ名前を呼ばれなかった男が、必死に自分をアピールしながら、拓斗と呼ばれた男にヘッドロックをかますと、その場にいた全員が笑い出す。
話の内容から、彼らはバスケ部員で、試合の帰りだということが分かる。
明るく親しげな雰囲気から、単なるチームメイトではなく、仲のいい同級生なのだろう。
まさに未来に希望溢れる若者といった感じだ。
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