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『どこかで見たような……』
遠い昔の記憶の中に、彼らの姿を見たような記憶がある。
『こいつら……この後、どうしたっけ?』
ズキリとこめかみが痛む。
脳が『思い出すな』と警告しているようだ。
『つか、拓斗って――俺だろ?』
彼らの姿が近付いて来るにつれて、徐々に露わになっていく四人の姿。
俺にじゃれついているのは、この中では一番背が低い、いじられキャラの三石。
赤く染めた髪が沈みゆく太陽の色に反射して、燃えるような光を放っている。
そして、インテリ眼鏡をかけた、クールな印象の各務に、ウェーブのかかった柔らかな髪が甘い顔を引き立てている、いかにもモテそうな湊。
普段は目つきが悪い上に、仏頂面で、あまり感情を表に出さないタイプの筈なのに、彼らに囲まれた俺は、あんなにも幸せに笑っていた。
『あぁ、これは、あの時の光景か……』
幾度となく夢で繰り返し見てきた、俺の人生で過去最高に輝いていた日であり、最悪な日の出来事だ。
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