内気でごめんなさい。

9/12
前へ
/66ページ
次へ
 お掃除の間、野村君は、なんでこの人は話をしながらあんなにテキパキと動けるの? という感じで五人分働き、一方の私は話すので手いっぱいでほとんど掃除が手に付かなかず……自己嫌悪……。という感じで、手際の良い野村君の手助けのおかげで……そんな幸せな時間は想像以上にあっさりと終わり……。私は、申し訳ない気持ちいっぱいの中、 「あ、ありがとう。おかげさまで、助かりました。このお礼は必ず……」  と言いながら、『そうだ! このお礼として、野村君をファーストフードにでも誘えば、二人の仲がさらに進展するかも!』なんて思ったりもしたのだけれど、どう切り出していいのか迷っているうちに、 「ああ、ごめん。用事を思い出した。それじゃ」 と、野村君は、スマホを手にさっさと去ってしまう……。 「あ、う、うん。さよなら……」  私はそんな野村君の後ろ姿を独りぽつんと見送って、私は帰路についた……。                * 「……私は何を期待していたんだろう……?」  なんてうなだれつつ、人気のない堤防をとぼとぼと歩きながら。 「……でも、ああして私を気にして、掃除まで手伝ってくれるってことは私に気があるって意味かもよね?」  なんて呟いてみる……。一人きりになると、ちょっとだけ前向きになっている私がいた。 「うん。っていうか、真由ちゃんが居ないうちに明日にでも野村君に告白を!!」  私は、あるのかどうかわからない勇気を振り絞って決意を……。 「……告白を……するべきかどうかを……考えるべきなのかどうかを……決めよう……かな……?」 ……やっぱ私には、それほどの勇気は無いらしい……。  ってか、私ってどこまで優柔不断なの!!
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加