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ガチャン
家の玄関の扉を開けると、静かな空間が広がっていた。
おじさんは仕事だよな
おばさんは…あぁそういうや引っ越した次の日にパートの面接とか言ってたっけ。
おじさんとおばさん…そう俺は父さんと母さんと呼べないでいる。
嫌いとかそういんじゃない。
こんな俺にも向き合ってくれたし、感謝もしている。
ただ記憶にない二人をお父さん、お母さんと呼ぶのに抵抗があるのが事実だった。
「お兄ちゃん…!」
静かな空間に声が響いた。
階段を見ると、二階からヒョコッと顔をだした杏奈ちゃんがいた。
「杏奈ちゃん…ただいま」
「おかえり…お父さん仕事で遅くなるみたい。お母さんからも連絡があって、パート採用になったみたいなんだけど今日そのままそのパート先で飲み会があるらしくてそのまま参加することななったって…ご飯どうする…?」
てことは杏奈ちゃんと二人きりか。
別に変なことは考えてないぞ。
記憶にないとはいえ彼女は中学3年生の妹だ。
そういう感情はない。
「あー…俺飯いいや。杏奈ちゃん適当になんか食べな?」
「あ、…わかった…」
なにか言いたげそうだったが、杏奈ちゃんはそのまま部屋に戻った。
いつもこんな感じ、
杏奈ちゃんもそう思っているだろうが気まずい
はじめて(俺的に)杏奈ちゃんとあったときは
「大好きなお兄ちゃん!!!無事でよかった!!!もうどこもいかないで!!!」
と泣きながら抱擁された。
だが、記憶を失った俺から出た言葉は
「誰?」
まあそれはおじさんおばさんに対しても同じだったが
それから気まずくてしょうがない。
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