好きだと伝えたくて。

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結局あのあと医者にはいつものごとく『異常なし』と言われ、俺の足はそのまま母校へと向かっていた。 今日は文化祭二日目だけど、もうとっくに終わっている時間で、校舎は真っ暗だし人の気配すらない。 そんな母校を校門からじっと見つめていると、突然ざざっと木々を大きく揺らすような強い風が吹いてきた。 それと同時に赤く染まり始めている葉がひらひらと舞散る。 弱く照らされた外灯の光の中で散っていくその様がとても綺麗で、そのまま魅入っていると、 「黒木、くん?」 後方から声が飛んできた。
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