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塾を終え、迎えに来ていた母親は般若のような顔をしていた。
「お…母さん…」
弥子は母親に無理矢理手をつかまれて、引っ張られる。
「お母さん! 痛い! 痛いよ!」
訴える弥子だが、それでも異に返さず、車に乗せられる。
「弥子! この前のテストのあの成績! 何あれ! お母さん恥ずかしくなったわ!!」
「ご…ごめんなさい…」
「お母さんはあんな点数取ったことないわよ!」
家に着くまで、車の中でずっと文句を言われている弥子。それに「ごめんなさい」「はい」
「わかった」の三つの言葉しか発せられなかった。
家に着いて、母に命ぜられるまま、夕食をとり、風呂に入る。それから、学校の宿題をして、例のパンフレットの絵を描き始めた。
下絵が終わった時には日付を超えていた。母にわからないように、電気を机のライトだけにしていたので、目がしばしばするし、あくびも耐え耐えなので、ベッドに入り、目覚まし時計をいつもより早い時間にセットした。
「はぁ…」
短いため息とともに弥子は眠りに落ちた。
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