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次の日、目覚ましとともに起きるが、ぼうっとする。昨日遅くまで絵を描いていたのにプラスして、いつもより早い時間の起床だ。どうにも頭がはっきりしない。
顔でも洗えばすっきりするかと思って、だるい身体を起こして、洗面所に向かう。
顔を洗ってダイニングに入ると、
「あら、早いわね」
母親が朝食の準備をしていた。
「児童会室で資料探さないとだから、少し早く行く」
「そう、今日昼まででしょう? 帰ったらちゃんとこの前のテストの復習と予習するのよ!」
「はい」
朝食を食べて、着替えてから家を出た。行く途中、施設の前を通りがかるが、まだ早い時間帯、誰も出てきてない。施設のガラスの扉の先で、小学生から高校生が学校に行く準備をしているのが見えた。
「……楽しそう」
弥子はそう呟いて歩を進める。
五月の中旬に事件があったらしい場所にはもう何もなく、六月末というこの時期、じめじめした空気に高い気温、家を出て十分も経っていないのに、肌着が肌に張り付く不快感があった。
学校に着くと同時に校門が開いた。
「おはよう、武門さん。早いわね」
女性の教諭が挨拶をする。
「おはようございます。教頭先生。児童会室で探さないといけない資料がありまして」
端的に説明してから、弥子は教室で荷物を下ろして、児童会室に入った。
「えっと、昨日はここを探したから……」
必要な資料のありそうなところにあたりをつけて、探し始める。
「あ、やっぱり」
探し始めて十分ほどで、開けっ放しにしていた児童会室の入り口から声がかかった。
「わあ!」
驚いて、振り向くとそこには未来がいた。
「君、昨日から驚かさないでくれる?」
「悪いな」
未来は児童会室に入る。
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