「ヒトリニシテ」

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 そして、授業間休憩の時に、 「あ、これか?」  未来は一枚のくしゃくしゃの紙を取り出した。過去の児童会長が書いたのか、小学生らしい文字が並んでいる。 「………これだ!! ありがとう!!」  弥子は心底ほっとしたように息をつく。 「……やっぱりあんまり顔色よくねぇな」  未来は弥子の顔を覗き込んだ。 「……!」  驚いて、弥子は一歩下がる。 「ああ、悪い。下の子たちと同じように接してしまった。失礼だったね」 「いや、驚いただけだから。私、一人っ子だし……それに、クラスメイトも沖田先生も気づかなかったのに、君はすごいね」 「朝も言ったけど、慣れてるだけだ」  そういって、二人は教室に戻った。 「ねぇねぇ、弥子ちゃん!」  教室に戻って、手に入れた資料のしわを伸ばしていたら、女子児童が話しかけてきた。 「最近、未来くんと仲いいよね?」 「え?」  ちらちらと未来を見ながらの言葉に弥子はぽかんとした。 「あーそれあたしも聞きたかった!」  近くにいた他の女子児童もその話題に食いついて、弥子は三人のクラスメイトに囲まれた。 「ほら、一斉下校の時は一緒に帰ってるし!」 「ああ、ほら五月に事件あったでしょ? それで先生が、方向が一緒の人はできるだけ固まって帰るように言ってたじゃない? 私、この学年だと一緒の方向が施設の人たちだけだから」 「えーでも、よく話してるよね? 未来くんが話しかけてる女子は弥子ちゃんくらいだし!」 「そうなの? たまたまでしょ。三人とも話してるの私、見るよ?」 「えーでもさ……」  弥子は三人の女子に様々な質問をされて、休憩が終わるころにはぐったりとしていた。 (……頭、ぼうっとする…でも帰ったら、絵を完成させて、終業式の言葉考えといて、この前のテストの予習を…木曜日でよかった…)  弥子は残り二時間の授業をどうにか乗り切り、給食を食べて、掃除まで気力で持たせた。
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