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放課後、靴箱を抜けると、
「弥子ちゃーん!!」
大きな声で呼ばれた。
「愛夢ちゃん!」
弥子は駆け足で愛夢と合流した。横には和泉(いずみ)もいる。
「えっと、こんにちは、和泉ちゃん」
「…こんにちは」
弥子は和泉にだけはずっと敵対心を持たれているのを気になっていた。あまり人と話さない子なのかと思っていたが、他のきょうだいたちには明るく話しかけているので、妙な疎外感を覚える。
「弥子ちゃん!」
そこで、弥子の足に抱き着く少女。
「…こんにちは希星ちゃん。今日は咳出てない?」
「うん! 今日は体育も出れたの!」
「そっか、よかったね!」
着々と施設の皆が集まり出して、最後の一人、未来が合流した。
「未来兄おっせぇよ!」
和斗の文句に、未来は平謝りしながら靴を履く。
「悪いな、帰り際に担任に捕まって」
全員が揃ったところで校門を出た。
そこで、未来は手を繋いでいる大地の様子をじっと見ている。
「大地……どこが痛いんだ?」
唐突にそういうと、施設の皆はシンとした。
「…あたま、あつい」
それを聞いて未来は大地のおでこに手を乗せる。
「…ちょっと熱いかな、歩けるか?」
大地はコクンと頷いて、乏しい足取りで歩きはじめる。
「……大地、ランドセルおろせ」
未来は大地のランドセルを持って、歩き始めた。
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