「ヒトリニシテ」

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「…すごいね。わからなかった」  弥子は素直に感想を言う。それに和斗が自慢げに答えた。 「大地の体調が分かるのは、未来兄と成月(なつき)、あとは望(のぞむ)兄くらいだよ! 大地は普段からぼうっとしてるし、昔から一緒のおれらでもわかんねぇんだ!」 「そうなんだ。望兄ってのは?」  和斗の口から知らない人の名前が出たので、弥子は素直に聞いた。 「高校三年生の兄さん! 遊学望! 大学のスイセン? が決まってんだって! すっげぇ頭いいんだ!」 「まだ正確には決まってないけど」  和斗の説明を未来が補足した。 「そうなんだ。すごいね」 「……」  弥子の言葉に未来はじっと弥子を見たが、気づかれる前に前を向いた。  施設について、愛夢は弥子の手を離さない。 「弥子ちゃん、今日遊べないの?」 「うん。ごめんね用事があるの」 「じゃあ、次いつ遊べる?」 「えーっと…わかったらいうね」 「いつわかるの?」 「愛夢」  愛夢の質問攻めに、弥子は困っていたが、それに未来が助け舟を出した。
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