飽くなき欲望の彼方へ

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 HRの時間がやってきた。  いつもならばザワザワとして落ち着かない教室の中も、その日に限っては皆一致団結していた。  担任が不在の教室で、二年二組の長たる学級委員長、北山保(きたやまたもつ)が壇上に立った。  その横には副委員長兼書記の南方恵(みなかためぐみ)が付く。 「それでは先日の続き。前回は模擬店という事で満場一致した訳ですが……抽選の結果、このクラスは見事その権利を獲得する事が出来ました」  その言葉を聞いて、クラス中から「おお~!」と言う感嘆の声と拍手が巻き起こった。  基本この学校では、模擬店をして良いのは二年生からと決まっている。  一年生の間は、お化け屋敷やゲーム、演劇、展覧などという出し物に止めなければならない。  衛生管理の面等を考慮して、食品を扱えるのは二年生になってから。  それも六クラス中二分の一、つまり二年生は三クラスしかその権利を与えては貰えないのだ。  学級長が話している間に、南方は黒板に先日上がった出し物をカツカツと羅列していく。  ・クレープ  ・かき氷  ・綿菓子  ・たこ焼き  ・喫茶店 「では今から、今年度文化祭での出し物について採決を取ろうと思います」  権利を獲得したからと言って、好き勝手に出し物を選べる訳ではない。  他のクラスとの兼ね合いもある為、一応第三候補までは提出しないといけないのだが――
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