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これも内藤の仕業か、慌てて内藤を探したが、休憩室に奴の姿はない。かわりに昨日からはいった新人がいた、何かを探しているようだったが
「内藤見なかったか?」
少しせかし気味で反応を待った。
「内藤さんですか?今日は確かお休みだったかと…」
「はぁ?…さっきまで俺はあの奥のテーブルで」
テーブルも椅子もテレビもない、何が起きたのか全く理解できなかった。
「いやなんでもない…」
何かとんでもない事に巻き込まれている気がした、それが良いことなのか、悪いことなのかはわからないが
「すみません、このあたりにA4サイズのチラシ落ちてませんでした?」
僕が足元に目をやると、チラシを足で踏んでしまっていた、慌てて拾い上げると内容が嫌でも目にはいってきた。
全人類総出の謎解きゲーム 到達者には〇〇〇
「知らなかったんですか?先週から突然始まったこのゲーム、TVやネットもみんなこの話題で一色ですよ!専門のチームもいるぐらいで」
途中から新人の熱弁は聞こえなかった。しかし今どき紙の媒体とは時代遅れなものだ、僕はチラシを新人に渡し、午後の作業に戻った。その日の作業は上の空で、他の作業員もそのゲームとやらの話題で持ち切りだった。
あのゲームは一万の謎があるとか、謎を解けば報酬を得る前に殺されるetc、僕はそんなことより、消えた内藤の行方が心配だった。あの紙の場所に内藤はいるのだろうか、まさかこれがゲームなのだろうか、不安は募るばかりだ。
その日の帰りにバスを待っていると、lengthと書かれた看板が目にはいった、僕はあの看板を、いや文字をどこかで見たような気がした。
「あのメモだ…」
僕がいうはずのセリフを、バスを一緒に待っていたおばあさんに言われた。
「あのメモだよ…さっさと見な!察しが悪いんだよ」
おばあさんは少しこわばった顔でこちらを睨んだ。僕は慌てて言われるがままに、くしゃくしゃの紙を取り出した。
「やっぱりそうか…」
「だいたいこんな都合よくあるわけないじゃろ?お前さんはあと少しであがりなのさ」
呆れ口調で去っていこうとした。
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