4人が本棚に入れています
本棚に追加
「あそこに座る奴は決まって食い逃げすんだよ…」
注文を受けている店長の後ろ姿を見たが、全く警戒する素振りは見せていない。というより食い逃げokなんてありえない、きっと後で捕まるに決まってる。
「はい、チキン南蛮定食、唐揚げ定食、鯖の味噌煮定食ですね!かしこまりましたー!」
それにしてもやけに頼むな……ほんとに食べきれるのか、どうせ逃げるから食えるだけ食うつもりか…程無くして料理が僕らの所にも運ばれ、ドア側の者にも料理が運ばれた。すぐさま食べ始める。僕は彼が本当に食い逃げするのか心配で、食事どころではなかった。
「早く食えよ、冷めるぞー…」
同僚の声が聞こえはしたが、そんなことはどうでもいい、彼が食い逃げしようものなら、僕は止めるつもりだ。みるみるうちに減っていく定食達、全てを平らげた彼はすっと立ち上がると店を後にした。急ぐ様子もなく、会計も済ませず。
最初のコメントを投稿しよう!