大袈裟病

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 「さあ早くそこの銃でこいつを絶命させてください!」  「こいつを倒して、ここから早く逃げよう!」  私は銃らしきものを握りしめた。  「さあ!!」  「早く!!」  どっちだ…どっちなんだ…男か…女か…大体なんで私がこんな目に、思い返せばあの病院から、おかしなことばかりだ、私は銃を右往左往した。  「やるんだよ」  「やるのです」  二人の催促などどうでもよかった、ただ状況を変えたかった、人殺し何て性に合わない。  私は二人の銃を撃った。    確かに二発だ、この耳で聞いた、照準もしっかり、安全装置も外した、なのに銃口からは沢山の花束と、おめでとうと書かれた垂れ幕が飛び出していた。銃を撃たれたはずの二人はこちらをむいて笑顔だ。部屋のドアが開き見覚えのある男が入ってきた。途端に拍手を始める二人  あの禿げ頭、あの時の医者だ。  「いやはや騙して悪かったね」  私の呆気にとられた顔を見て、医者は女の方を向き指を鳴らした、女は私の方へ駆け寄ってきて、…あれこんなに可愛かったっけ…  「お疲れ様でした!大袈裟病治療プログラム終了です!冷静な判断お見事でした!」  もう一人の男も駆け寄ってきた。  「簡潔に話しますと、お客様は完全に治りました。度重なるご無礼お許しください」  深々と頭を下げる二人  「じゃあ…今までのは…」  「ぜーーーんぶ、演技!」  「アハハハハハハハハ」  私以外の三人は高笑いを始めた。  「いやーしっかし危うく殺すところでしたよ」  私は男を見て力なき声でこう言った。    「大袈裟だな」  三人は笑うのをやめた。    
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