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4. 夢
気が付いたら、後ろを気にしながら走っていた。
"逃げなければ"
何から逃げているのか。
何を恐れているのか。
振り返っても、何もいない。
それでも走った。止まったら死ぬ予感がしたから。
そして唐突に気付いた。いくら走ろうと息切れの痛みがない。疲れているはずなのに苦しくない。あぁ、これは夢だ、と。だから止まった。夢とは深層意識の現れとも言う。だから夢でくらい、少し逃げたくなくなったから。だから止まって、後ろを振り返った。そこには
「おぉう…逃げよ」
そこには、モーニングスターを持った巨人がいた。因みに武器も巨人サイズだった。これは死ぬ。夢で死んだらどうなるのか分からなかったけど、試す勇気は無かった。本能が拒絶した。当たり前の反応だとは思う。
逃げて逃げて、道が無くなって、あ、これ詰んだ。
そう思ったとき、目覚ましの音と共に夢から脱出できた。
ガバリと薄掛けを退けると、心臓に手を当てる。
異様な心拍数の上昇と、脳裏にこびりついてる恐怖。はは、と自重ぎみな空笑いが零れて思った。
(恐怖)
この夢は暫く忘れられそうにない。
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