ソレイユの便り

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 女性店員は都合よくそう解釈して、ひまわりの花束を作り上げていった。  それを見つめるおじさんの横顔を僕は眺める。  こういうことは別に今に限ったことじゃない。彼の考えはいつも分からなかった。  会話という人間的ツールを絶たれては、理解を深めることなど到底できない。  唯一の方法である、手話という言語。だが、僕はそれを知らない。  ひまわりの花束を抱えたおじさんは先を行く。少し離れた後ろを僕は歩く。  辺りには蝉の鳴き声だけが響く。  都内でも僕の家は毎年、8月に墓参りに行くことになっていた。  親戚が地方にいるからかもしれない。  じとっとした暑さに額から汗が流れる。上り坂の先は陽炎で歪んで見える。 「おじさん、僕もうダメ!」  部活で鍛え上げられた僕の大声に彼は振り向く。 「飲み物......買っていい?」  側の自動販売機を指差す僕を見て、おじさんは坂を下ってきた。  目の前まで近づき、500円玉を差し出す。 「あ。ありがとう......」  受け取ってすぐ自販に入れ、ボタンを押した。ガコンという音に反応し、缶を取り出す。 「おじさんは?......何か......飲む?」  自販を指して話す僕。彼は少しの間見つめて、ボタンを押した。おじさんが選んだのは無難なお茶。僕はスカッと炭酸の効いたジュース。  近くの木陰に移動し、縁石に座って飲んだ。おじさんも隣で喉を潤す。  四十半ばだと母は言っていたが、それよりも若く見えた。
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