第3章

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 淡い琥珀色の光が、つやつやとした光希の白い頬を浮き上あがらせる。そっと指先で、頬に触れる。産毛が黄金色に輝いている。 「おやすみなさい、パパ」  光希は、また雅人が出て行ってしまわないようにと思うのか、パジャマの裾を掴んで放さない。  さらさらした絹糸のような光沢のある髪をひと撫でして、光希の肩まで羽布団をかけてやる。光希が寝入るまで、雅人はずっと髪を撫で続ける。  ベッドサイドには、闇を淡く照らす琥珀色の灯り。  ぼんやりと見ているうちに、雅人もいつのまにか眠りに落ちてしまったようだった。    ◇   ◇   ◇  カブリと肩に何かが噛みついた。 「あうっ」  刺すような痛みに雅人は目を覚ました。  しかし布で目隠しされた視界は、まだ闇だった。 「しっ、静かに」  耳元で囁かたのと、口を塞がれたのが同時だった。  まさか。  それとも、貴之のマンションだったのは夢で、本当はここは雅人の家だったのだろうか。  動こうにも手足は縛られていて、自由に動かせない。 「雅人、大きな声を出したら隣で寝ている光希君が起きるよ、気をつけて。もっとも薬でよく寝てるから大丈夫だろうけど」  冷笑混じりの機械的な声。あの声だ。  全裸でうつ伏せにされのしかかられて背中を押さえつけられているのだと、漸く理解する。  ではやはり、ここは貴之のマンションなのだ。 「ここに来ちゃあダメだって言ったあげたのに」  雅人はぞっとした。  どうして──。  涙が溢れそうになって、唇を噛む。 「どこに逃げたって無駄だよ。ね、わかっただろ? 雅人は僕からは逃げられないってことが、さ」  男は再び、雅人のうなじにがりっと歯を立てた。 「ひっ……っ」   痛みが走る。しかし声をあげそうになるのを、なんとか耐える。 「ちゃんと親切に忠告してあげたのに知らないよ。どんなことになっても」  ふたたび耳元で囁く。  まるで人の声とも思えない冷たい笑い声が響く。
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