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二
処世術、なんてものは人それぞれだ。
長い手足とそこそこ整った顔で生まれて育った俺の場合は、口調と所作。素でいることで面倒ごとに巻き込まれたり、大事な人を傷つけたりするくらいなら、人格なんていくらでも装える。
「待ち人来らずねぇ。メール見てないのかしら」
そこらの女子よりずっと柔らかい語調で話して頬に手を添えれば、近くにいた女子数人が振り返った。
なんとか理由をこじつけて逆ナンしようとチラチラ覗いてくるようなのは、これで大概離れてくれる。いくらイケメンでもオネエじゃ自慢の彼氏にはならないからだろう。
見目麗しい両親の遺伝子は優秀で、二人いる姉も、三つ下の妹も外見は雑誌やテレビで見る人たちに引けを取らない。家族の中では一番地味だけど、しょっちゅう逆ナンされる程度には俺も容姿が整っている。
「僕も口調合わせた方がいいですか？」
「ああ、ごめんなさい。右京ちゃんまで変な目で見られちゃうわね」
「いえ、僕は気にしないので構わないんですけど」
「気遣いやさんね?。ありがとう。お言葉に甘えてこのままいくけど、右京ちゃんも普通でいいからね」
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