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前嶋優の邂逅
一
青春、なんてものは、特に意識しないままいつの間にか過ぎ去っていくものだと思っていた。大人になって振り返って、あーあの頃って青春ってやつだったのかなとか、もっと青春らしいコトしとけばよかったとか、そんな風に思うもんじゃないかなって。
別に、俺の周りの大人たちがつまんなさそうな人ばっかとか、そんなわけでは決してないんだけど。なんとなく、一番楽しい時にそれを自覚して楽しむって難しいんだろうなって、思っちゃってる俺がいるってだけの話。
「うー……あああああ」
「調子良さそうね、優ちゃん」
「……良さそうに見える?」
「だって、販売用の小物、既にすごい量になってますよ」
作業台に突っ伏した俺に、梅子ちゃんと右京ちゃんが口々に声をかけてくる。梅子ちゃんはからかい半分、右京ちゃんは単に感心してる風だ。
俺の側には、手作りの小物が山になっているカゴが二つ鎮座していた。今日だけで既にシュシュを五個作っている。だって簡単なんだもん。端切れで作れるし。
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