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びっくりして振り向いた産土も目に映ったのは、
「瑞玉(ずいぎょく)!!」
産土は思わずその名を叫ぶ。
瑞玉は五聖のうち「金」を司る聖霊である。
生命が終わりをつげた時、その痕跡を残す事、
また、無から何かを形にし、物質化する使命を司る。
身長は156cmほどであろうか。やや日焼けした肌、細身の筋肉質の体型を
淡い黄色の漢直裾で包み込み、
金色の帯で締めている。
フサフサとしたブロンズ色の髪を腰辺りまで伸ばし、
ポニーテールにして金色の紐で結いつけている。
クリクリした大きな瞳は、生き生きと輝く金色だ。
ブロンズ色のフサフサした睫毛に囲まれている。
感情が、ダイレクトにその瞳の色合い、輝きに反映されるようだ。
ブロンズ色の太めの眉は、彼の負けん気の強さを。
高くもなければ低くも無い鼻は、親しみ易さを。
形の良い唇はややふっくらとしていて、いつも笑顔を絶やさない。
時折真一文字に結ばれるそれは、彼の実直さを示していた。
小さめで頬がややふっくらとした卵型の顔の輪郭。
先端が少し尖った耳は、聖霊と言うよりは精霊に近い印象を受ける。
あどけなさが残り、可愛らしい顔つきと相まって、
一見するとその小柄な体付きから少年と見紛う。
しかし彼も、他の聖霊と時を同じくして生みだされているのだ。
「毎日毎日、ご苦労なこったな。可哀想で見ちゃいられないぜ」
半分呆れ、もう半分は同情しつつ言い続けた。
両手を上げて後頭部あたりで組み、
半ば体を後ろに反らすような姿勢で、産土に近づいた。
「大体、神も酷な事するよなー」
「瑞玉!」
素直に感じたままを話す彼を、慌てて遮ろうと産土は声を上げる。
「常に均衡を保たせたいなら、感情なんか持たせなけりゃ…」
「瑞玉!!黙りなさいっ!…それ以上、言ってはなりません!!」
全く悪びれずに尚も言い続けようとする瑞玉。
産土は彼の背後に瞬間移動し、
羽交い締めにするような形で瑞玉の口を右手で塞いだ。
『なんだよ!?本当の事じゃないか!』
瑞玉は小声で産土に抗議の声を上げ、彼の腕から逃れようともがく。
『瑞玉、あなたとて消されたくは無いでしょう?』
産土は穏やかに、だがどこか有無を言わさない強さを持って諭した。
諦めたように溜息をつく瑞玉。産土はそっと彼を解放した。
神に逆らうと、即刻宇宙の塵にされてしまう。
神の命令は絶対だった。逆らう事は、死を意味した。
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