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花香と水鏡は、揃って森へと歩みを進める。
途中、
花々や木々の状態を観察し、
宇宙全体の均衡が保たれているかを確認しつつ。
白き蝶、青き蝶、銀の蝶、金の蝶が舞い、それぞれに花と語らう。
花や草、木々の精霊達が、命の賛歌を歌う。
「花香様」
「水鏡様」
精霊達は嬉しそうに彼らに手を振り、
自らが問題なく生命を謳歌出来ている事を伝える。
森に着いた。奥へと足を運ぶ。
森の精霊達は、物静かなものが多い。
よほどの事が無い限り、それぞれが自由に過ごす。
そして一際大きな樫の木の前で、彼らは足を止めた。
花香は樫の木を見上げる。この上なく、愛し気な眼差しで。
…ズキッ…
そんな彼の様子を後ろから見ている水鏡。
微かに胸に痛みを感じつつ、彼も樫の木を見上げた。
彼もまた、この上なく優しい眼差しで。
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