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すっと向けられる視線に、ビクッと身体が震えてしまう。
そういえば、なんで課長はここに来たんだっけ? なんで──。
「べつに男性と付き合うな、とは言いませんがもう少し相手をえらんでは? 妻である彼女を見た限りでもその相方の程度は知れるというもの。残念ながら良識ある人物とは思い難い」
「……は、はぁ」
えと、噛み砕いて言うと、ノブ君はサイテーってこと。
いや、反論のしようもないけど。
なんせ偽名を使われて、さらには勝手に不倫の相手までさせられてたんだから。
そう、なんだけど……。
「でも、悪いとこばかりじゃ……、派遣先で助けてくれたのも彼だし」
「派遣先?」
「はうっ!」
こぼれた言葉に、しまったと両手で口をふさいでも、もう遅い。
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