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「しっ、仕事をさぼったわけじゃっ」 「そう言えば、穂積さんは販売ソフトのインストラクターもしてましたね」 「そっ、そうです! そこで知り合っただけで、仕事はちゃんとっ」 「受講者の変更を告げるのが面倒で、本来の受講者の名刺を持ってそこにいたのかもしれませんね」 「そうっ! だから……、え?」 確かに、彼と出会ったのは大手企業だったけど、受講者はその下請けまでと幅広かった。 変更手続きが面倒と言われれば面倒だし、本人確認なんて名札代わりにする名刺くらい……。 「あぁ! なるほど!」 思わずそう声を上げると隣から「ぷっ」と吹き出す声が聞こえた。 って、隣って課長しか……。 「しかし、あなたと付き合ってからも偽名のままというのは確信犯でしょうね」 「はぁ……」 隣を見たけど、やっぱり課長は笑ってなくて、いつもの淡々とした顔だ。
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