456人が本棚に入れています
本棚に追加
「出なさいよ! それが証拠よ! うちの主人なんでしょ?」
「ち、違います! なんの勘違いしてっ」
そう言いながらも、もしかしたらって思った。だけどここでスマホを出して相手がノブ君だったら? そうなったらもう言い逃れも出来ない。
「出なさいったら!」
「あっ」
奥さんがあたしの鞄に手を突っ込んで、スマホを手にした。
「止めてっ!」
「この女に何の用なのよ!」
もしかして、本当にノブ君だったの――?
さーっと、指先から血の気が引く感じがした。
「私? 私は――、誰でもいいでしょ? あなたは? この女のなんなのよ?」
「……え?」
ノブ、君じゃない? ならいったい誰と話してるの?
「上司? それなら話が早いわ。お宅は娼婦の斡旋でもしてるの?」
「なっ!?」
上司って、誰? もしかして――!
最初のコメントを投稿しよう!