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「この女はね、うちのを誘惑して不倫してたのよ!」
「返してっ!」
「はぁ? 証拠? うちの車のナビにこの女のマンションが登録されて、ツーショットまで、あっ!」
「止めてったらっ!」
必死になって奪い返してスマホを見ると、そこには会社の名前と『営業一課』の文字があった。
『……もしもし? どうされました?』
そのスマホから聞こえてくる冷静過ぎる声に、あたしの背筋は一瞬で凍った。
いや、凍ってる場合じゃない!
「――あ、あのっ、なんでもないのでっ」
『あぁ穂積さんですね。今ご自宅ですか?』
「そ、そうですけどっ、そのっ、本当になんでもっ」
『今からそちらに伺います』
そう言うと、通話は切れてしまった。
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