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「……くっ、あははっ、本当に君って人はっ」 課長はいきなり笑い始めた。 え? な、な、なんで? 「か、課長……?」 「くくっ……、失礼。そうですね、それならコーヒーでもどうですか?」 「へ? コーヒー?」 「それくらいならおごったうちには入らないでしょう? 行きますよ、穂積さん」 「え? か、課長?」 なぜこういうことになったのか、あたしの手の中には自販機で購入されたコーヒーがある。 「朝食、食べましたか?」 「え? あ、急いでたから、その……」 「手を出して。こんなものしかありませんけど」 条件反射的に出したあたしの手の上には、コロンとしたチョコが落ちてきた。 「朝は甘いものが良いらしいですよ」 「あ、ありがとうございます」 「緒方課長からの貰い物ですが、きっと彼も誰かから貰ったのでしょう。だからお礼は不要です」 そんな説明に「はぁ……」とヘンテコな返事をしながらあたしは包みをあけた。 多分、海外のお土産なんだろうそれは、凄く甘い匂いを漂わせる。
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