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「穂積、さん?」
屋外じゃなくて良かった、とでも思えばいいのか。
「……気にしないでください」
見事、あたしはどこかのコントのように床に尻餅をついた。
瞬間、しーんと静まり返るオフィス。
「……ふっ、あははっ、いや、失礼。大丈夫ですか? 穂積さん」
その沈黙を最初に破ったのは課長の笑い声だった。
「だ、大丈夫ですっ」
「ぷっ、ははっ! 穂積ぃ、今時こんな笑い取れんの、お前だけだな?」
続けて東君まで笑い始める。あー、もう!
「本当に目が離せませんね、穂積さんは」
そう言いながら藤堂課長はあたしの腕を持って引き上げてくれた。
「……えぇ、離さないほうがいいですよ? 笑い損ねますから!」
「そうします」
「え?」
「冗談です。これはほんのお詫びですよ」
そう言うと藤堂課長は私の机の上に栄養ドリンクを置いた。
「貰いものですから気にせずどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
これってもしかして、餌付け?
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