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「それより、うちの課に何か用事でも?」
「あのね、お前の顔を見に来たじゃダメ? 俺も滅多に帰ってこないしさ、今夜あたり飲みにでも――」
「就業時間中ですので、そう言った話は休憩時間にお願いします」
真顔でそう口にする藤堂課長。
いや、これでこそ藤堂課長なんだろう。
緒方課長は「あー、はいはい」なんてため息をつきながら自分の部署に戻っていった。
「穂積さんも戻って仕事を続けてください」
「……はい」
この人に友人っているんだろうか? なんて変な心配をしてしまった。
「思うんだけどさ」と、あたしが席に着くなり話し始める隣の東君は、あたしの同期だ。
「その年その年で、人間の当たりはずれってあるよな? ほら、全体のモチベとか性能っていうかさ」
「例えば、藤堂課長の代は優秀で、あたしらはダメダメとか?」
「あー、それそれ? ん?」
首をかしげる東君に頭の中で『バカ』と呟いて、あたしは仕事を始めた。
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