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「あれ? まだ女の子働かせてんの? 藤堂」
この声に顔を上げると、真上に緒方課長の顔があって驚いてしまった。
「あ、えと、別に藤堂課長が悪いのではなくて、その……」
言われる通り、今夜もあたしは残業してる。本当ならもう帰れるはずだった。
それがなぜそうなったかというと、修正データがフリーズしてどうしようもなくなって、パソコンの電源を落とすしかない選択に迫られて、またやり直しになってしまったから。
「仕事に男性も女性もありません」
あぁ、なんて藤堂課長らしい言葉なんだろう。
「ばーか、夜道で男が追い剥ぎにあっても同情しねぇけど、女の子が襲われたら一生後悔すんぞ?」
……なんか、このふたりって両極端だなぁ。
だけど、こんな緒方課長の言葉に、あの藤堂課長が黙り込んでしまった。
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