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「それではなにかご質問は?」 薄く上げられる口の端に、あたしはゾクッとした。 カッコイイ。 文句なしにうちのプレゼンが一番カッコイイ! プログラムなんかの技術的なことは、緒方課長が答えて、それもスマートでよかった。 「それではこれで終わります」 藤堂課長がそういったとき、会場内からは小さく「ほう」と感嘆の声も漏れるほど。 うちが終わってよそのプレゼンも始まったけど、そんなのはあたしの耳には入ってこなかった。 「さて、うちにひっくり返るかな?」 帰り道、そんな緒方課長の声にあたしは「え?」と声を上げた。 「ん? 穂積ちゃんは知らなかったのか? これ、実は出来レースで大鷹商会が内定してるって」 そう言いながら緒方課長が藤堂課長を見ると、藤堂課長は「言ってませんよ」とサラリと答えた。
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