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真っ青な空が見えたかと思ったら、次は藤堂課長の顔が見えた。 転ぶはずだったあたしの体は腕を掴まれて、今、あたしの視界は真っ暗……。 だけど、ほんのりとシトラスの香りがあたしの鼻をくすぐって、あたしはほっと息をすることができた。 「大丈夫ですか?」 そっと目を開けると、プレゼンのときに見た赤系のネクタイが見え──。 「だっ、大丈夫っ! わっ」 慌てて離れようとすると、またよろっと体の芯がブレて、また腕を強く掴まれた。 「全く、本当に目の離せない人ですね」 ため息と一緒に落ちてくる声に、あたしは慌てて「すみませんっ」と謝った。 「そんなわけでまだまだ緒方課長の部署は無理です」 「どんなわけか分からんが、俺ならお姫様だっこで助けるね」 「それこそ意味がわかりません。穂積さんも外出するのにそんな高いヒールを履く必要はないでしょう? もう少し考えるべきかと」
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