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「前に言ってた話ですが、来週ある最終プレゼンに私と行ってみますか?」 「え? えぇ!? で、でもっ、あれってかなり大きな物件ですよね?」 プレゼン資料は確かにあたしが作った。 と言っても、すべて課長の指示通りに作っただけで、あたしが作ったなんて言うのもおこがましいくらいだ。 しかも、クライアントはそれなりに大きなメーカーで、図面管理からCAMまでの工程を一元化するというもので、過程で使うソフトやその構築、PC本体までひっくるめたもので、決まればかなりの金額になるという大きなプロジェクトで……。 「大丈夫ですよ、プレゼンは私がするのですから」 「そう、ですけど……」 「穂積さんは安心して見ているだけでいいです」 「……はい」 もう、無意識に返事をしただけでその意味すら分からないけど、そんなあたしの頭を課長がぽんぽんと撫でる。 あたしの持つ熱は、意思とは反対にますます熱くなっていく。
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