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これを聞こえるくらい大きな声で言えればいいんだけど、あたしにその度胸はない。 「そんなコト思ってないです。逆にあたしにはプレゼンなんて出来ないな、と思ったくらいですよ」 代わりに、へらっと笑ってそう返したけど、やっぱり睨まれて彼女は去っていった。 「めんど……」 女の嫉妬は醜い。 そんなことはみんなわかってる。 だけど、頭で理解しても心は従ってくれない。 あぁ、あたしと一緒か。 そう思うと、不思議と梅田さんを嫌う気にはなれなかった。 席に戻っても、相変わらず両課長の周りには女子が群がって、あたしの周りでもあの二人、というか専ら藤堂課長の話で持ちきりだった。 どこの出身だとか、大学はどこだとか……。 どこから情報なんだろ? と思いながらもあたしはその会話を無視できない。
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