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「穂積、お前ピッチ早すぎだろ」 「いいじゃん、久しぶりなんだし。東君も飲も? あ、契約取ってきたんだって? おめでとー!」 ジメジメなんてあたしには似合わない。 だから無理にテンション上げて、飲めるだけ飲んだ。 「あー、お前まっしゅぐ座ってねえぞ?」 「あはは、まっしゅぐってなに? 東きゅん、へんー!」 飲めば酔うのはあたり前。 景色はぐるぐる回るし、呂律もおかしい。 「笑うな! お前だって変だから、てかお前帰れんの?」 「んー? 迷子になっちゃった?」 「まだ店から出てねぇ! ってか住所くらい言えんだろうな?」 「住所? うんとね、実家はぁ」 「実家の話はしてないっつーの! あー、どうすんだよ?」 まわりを見れば、空いてる席もみらほら。 そっか、もうお開きになったんだ。だったら、課長も帰っちゃったかなあ……。
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