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今までも自分の都合の良いように考えて、最後は痛い目にあってきたって言うのに、あたしという人間は全然成長できてないらしい。
もう一度コーヒーを飲んで、手の甲でぐいっと涙を拭いた。
拭った先に見えたものがあって、あたしはソファから立ち上がった。
窓際に倒されたフォトフレーム。
そっと手に取ると、そこには真っ白なタキシードに身を包んだ課長と、幸せそうに微笑むウエディング姿の女性がいた。
「……結婚、してたんだ」
当たり前だけど、緒方課長だってそう言ってたし当然なんだけど……。
「ごめんなさい……」
忘れてた。
昨日の行為はやっちゃいけないことだったのに。課長もその罪悪感からこれを倒したんだろう。
でも、あたしはそれを綺麗に忘れて、もしもこの奥さんよりあたしが先に出会ったらなんて、もうすっかり悲劇のヒロインになってた。
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