7

12/26
前へ
/26ページ
次へ
心が『もっと』って叫んでる。 あの夜、自分のことを『俺』と言った課長。 あのときはきっと素だったんだろう。 課長の声、指先、息遣い、あの夜のすべてが今でもあたしをゾクゾクさせる。 もっと課長のことが知りたい。 もっと『真由』って呼んでほしい。 もっとあたしに触れて壊れるまでめちゃくちゃにしてほしいーー。 「……止めよう」 あたしはすっと立ち上がって窓の外を見た。 今日は土曜日で、すごくいい天気だ。 「うん、止めた」 あたしは目の端に残った涙を拭って、フォトフレームをあったように倒した。 課長に言われたように『よく考えた』。 絶対にあたしは昨日のことを忘れられない。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

554人が本棚に入れています
本棚に追加