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広島という街には市内電車があってこれが結構便利だ。 しかも市内は一律料金でリーズナブル。 うちはその恩恵にはあやかれ無い場所だけど、課長のマンションは電停から歩いて10分とすごく便利だ。 課長の鍵を持ってマンションへ。 オートロックの暗証番号は知らないけど、この鍵で中に入れる。 それからエレベーターで上がって部屋の前に着いた。 入って、いいんだよね? ほんの少し、鍵を持つ手が震えてしまう。 でもここまで来て帰る、なんてことはしたくないから。 「お、お邪魔しまーす……」 小さな声でそう言って、あたしはそっとドアを開けた。 外気よりもひんやりとした空気、静かな室内にほっと息をつく。 課長はまだ帰ってないみたーー。 「穂積、さん?」 「ーーっ」
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