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そういったあたしに、課長は少し目を細めて、それから小さく苦笑した。 「あなたはやっぱり男を見る目が無い」 そう、かもしれない。 昔からそうだ。 誰かのものになってる男しか好きになったことがない。 そういう意味で、あたしは男を見る目が無いのだろう。 あたしも、何も返せなくて同じように苦笑すると、課長はコトリとローテーブルの上に何かを置いた。 「今から会社に出ないといけないんです。なので、鍵を穂積さんに預けます」 「え? 鍵?」 言われて見ると、確かに置かれたものは鍵だ。 「ゆっくりとコーヒーを飲んで考えなさい。帰るなら鍵をかけて、ポストに入れて置いて。そうすれば……」 そう言うと課長は立ち上がってリビングを出て行く。 少しして玄関のドアが閉まって鍵のかけられる音が響いた。
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