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車に乗ってシートベルトを締める。
「お腹、空きませんか?」
「え? あ、それは、まぁ……」
こんな時間まで残業してるんだから、当然お腹だって空く。
「何か食べましょう。リクエストは? 真由」
名前を呼ばれて、本気で泣いてしまうかと思った。
「あたし、作る。アキさんの好きなもの作ります」
今すぐ触れたい。
抱きつきたい。
「ダメです。明日はまだ金曜日ですよ? 食べたら家に帰るんです」
気持ちが、破裂しそう。
「でも……」
「その代わり、明日はうちに来ていいですよ?」
「……え?」
「私は夕方に会議が入ってるので遅くなりますが、先に──」
「アキさんちでご飯作って待ってます!」
力一杯そう答えるとアキさんはクスリと笑って、あたしの頭をくしゃりと撫でた。
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