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「真由ちゃん、ため息ばかりねぇ」
ランチをしながらみやびチャンにそう言われて、あたしはまた、ため息をついてしまった。
「何かあったの？」
「え？ やっ、何もっ」
「あの奥さんが『訴えてやるー』とか？」
「……え？ あの奥さん？」
「ほら、変態で偽名の彼」
「あぁ……、忘れてた」
当然のようにあれからなんの連絡もないし、そもそも着信拒否してるから繋がるはずもない。
彼が会おうと思えばうちの会社は知ってるわけだし、会うことも出来ると思うけど、それをしないってことはそういうことなんだろう。
「ならどうしたの？」
「うーん、月曜日だから？」
「変な真由ちゃんねぇ」
本当にそう思う。
付き合い始めなんて、恋愛で一番楽しいはずなのに。
空を見上げればどんより灰色の雲が覆ってる。
「もう梅雨かしらねぇ。真由ちゃんじゃないけど、気分も沈むわね」
みやびちゃんの言うとおり、その日の夕方には雨が降り始めて、スマホニュースで『梅雨入り宣言』の記事が配信されてた。
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